Visual Studio Community 2015を使います。Visual Studio C++ 2015 を使えるようにしてください（※1）。

C#でC++のmemcpy

C++のstring.hに定義されているmemcpyを利用するC++/CLIラッパーを作成します。C++のdllを作成しないので、プロジェクトの設定やプログラミングは簡単になります。

今回の一番のポイントは、マネージドな配列をマーシャリングする部分です。

サンプルソリューションをここに置いておきますので、参考にしてください（サンプルプログラムにおける警告について）。

手順

1. 準備

• C#プロジェクトの新規作成
  1. ファイル → 新規作成 → プロジェクト → Visual C# → Windows → Windowsフォームアプリケーション
     • 例として名前は「test01」としてください
       
       
• C++/CLI(CLR)プロジェクトの新規作成
  1. ソリューションエクスプローラーのソリューションを右クリック → 追加 → 新しいプロジェクト → Visual C++（※2） → CLR → クラスライブラリ
     • 例として名前は「WrapperClass」としてください
       
       
• 依存関係の設定など
  1. ソリューションエクスプローラーのソリューションを右クリック→ プロジェクトの依存関係
     • コンボボックスの「test01」を選択 → 「WrapperClass」にチェック
  2. ソリューションエクスプローラーの「test01」の参照を右クリック → 参照の追加 → プロジェクト → ソリューション
     • 「WrapperClass」にチェック
  3. ビルド → 構成マネージャ
     • すべてのプロジェクトにチェックがついていることを確認
     • DebugとReleaseの両方を確認すること

2. C++/CLI(CLR)ラッパークラスのコード

• WrapperClass.hの内容を、以下に置き換えます。

#pragma once
using namespace System;

namespace Wrapper
{
	public ref class WrapperClass
	{
	public :
		int MemCopy(array<int>^ src, array<int>^ dst, int size);
	};
}

• WrapperClass.cppの内容を、以下に置き換えます。

#include "stdafx.h"
#include "WrapperClass.h"
#include <string.h>

int Wrapper::WrapperClass::MemCopy(array<int>^ src, array<int>^ dst, int size)
{
	// ★ここがポイント
	// 実行中、ガベージコレクションされないように、pin_ptrを使って固定する
	pin_ptr<int> srcPtr = &src[0];
	pin_ptr<int> dstPtr = &dst[0];

	// memcpy実行
	memcpy(dstPtr, srcPtr, sizeof(int) * size);

	// ★ここがポイント
	// 固定解除
	srcPtr = nullptr;
	dstPtr = nullptr;

	return 0;
}

• ポイント
  • マネージドな変数array<int>^を、pin_ptrで固定して、
    アンマネージドな変数を扱う関数（memcpy）にポインタを渡しています
  • 固定した後は、解除します（必須！）

2. C#のコード

C#のForm1クラスで試します。Form1.csの内容を、以下に置き換えます。

using System;
using System.ComponentModel;
using System.Data;
using System.Drawing;
using System.Linq;
using System.Text;
using System.Windows.Forms;
using Wrapper;

namespace test01
{
	public partial class Form1 : Form
	{
		WrapperClass _wr = new WrapperClass(); //WrapperClassのインスタンスを作成

		public Form1()
		{
			InitializeComponent();

			int[] a = {1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10};
			int[] b = new int[10];

			MessageBox.Show("処理前：b[0]=" + b[0].ToString() +
			    ", b[5]=" + b[5].ToString() +
			    ", b[10]=" + b[9].ToString());

			_wr.MemCopy(a, b, 10); //処理実行（C#のインテリセンスも働きます）

			MessageBox.Show("処理後：b[0]=" + b[0].ToString() +
			    ", b[5]=" + b[5].ToString() +
			    ", b[10]=" + b[9].ToString());

			Environment.Exit(0);
		}
	}
}

結果

実行ファイルは、.\test01\bin\Debugと.\test01\bin\Releaseにあります。

処理前、

処理後、

C++の関数で値が書き変わっています。


※1
ファイル → 新規作成 → プロジェクト → Visual C++
とした時に、
Visual C++ 2015 Tools for Windows Desktopをインストール

と表示される場合は、Visual C++がインストールされていません。
インストールを実行してください。

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