IronPythonからOpenCVSharp その1 で、IronPythonからOpenCVを使う事ができることが確認できたと思います。

とは言っても、CPythonでOpenCVを使うのと比較すると、「こんな時はどうするの？」ということが多々あります。以下に一部を説明しようと思います。

(1) Mat必ずDisposeしてください

OpenCvSharpの多くのクラスは、IDisposableが実装されています。

しかし、MatやMatExprクラスは特殊で、必ずDispose()メソッドが必要です。そうしないとメモリーリークが発生します。

ちなみに、C#でもBitmapクラスはDispose()メソッドが必須です。

(2) Mat.Get<T>とMat.Set<T>について

画像を読み込み、各ピクセルにアクセスするための関数「Mat.Get」「Mat.Set」。これらをOpenCVSharp上で「img.Get[T](0, 0)」のように使用するとエラーが表示されてしまいます。

ちなみに、C#における<T>function()はIronPython上では[T]function()となります。

>>> from opencvsharp import *
>>> from OpenCvSharp import Vec3b
>>> 
>>> fn = path.join(IPY_OPENCVSHARP, "lena.jpg")
>>> img = Cv2.ImRead(fn, OpenCvSharp.ImreadModes.Color)
>>> 
>>> img.Get[Vec3b](0, 0)
Traceback (most recent call last):
  File "<stdin>", line 1, in <module>
TypeError: Multiple targets could match: Get(Int32, Int32), Get(Array[Int32])
>>> 

エラーの内容は、「オーバーロード（多重定義）されている関数だから明示的に対応してください」ということだと思います。

こちらの「Method overloads」の記述が参考になると思います。

エラーで「Get(Int32, Int32)」と言われているので、まず、「System.Int32」を使えるようにし、次にOverloadsを利用すると正常に動作します。長ったらしくなるので、「Method overloads」の記事のようにしたり、関数化するのが良いかもしれません。

>>> 
>>> from System import Int32
>>> img.Get[Vec3b].Overloads[Int32, Int32](0, 0)
<OpenCvSharp.Vec3b object at 0x000000000000002B [Vec3b (127, 137, 224)]>
>>> 

(3) Mat.ToBitmapについて

MatをC#のBitmapに変換する関数は、C#上では以下のように簡単に利用できます。

しかし、IronPythonのMatからでは利用できません。

>>>  
>>> img.ToBitmap()
Traceback (most recent call last):
  File "<stdin>", line 1, in <module>
AttributeError: 'Mat' object has no attribute 'ToBitmap'
>>> 

「ToBitmap」関数は「OpenCvSharp.Extensions.BitmapConverter.ToBitmap」にあるので、以下のように簡単に扱えるようにしておくと良いと思います。

ToBitmap = OpenCvSharp.Extensions.BitmapConverter.ToBitmap

以下のように使うことができます。

>>> 
>>> ToBitmap(img)
<System.Drawing.Bitmap object at 0x000000000000002C [System.Drawing.Bitmap]>
>>> 

(4) その他の便利関数

IronPythonにおいて（C#においても）、「Mat.Data」で「Mat」のIntPtrを取得することが可能です。

C#の「Marshal.Copy()」は、「IntPtr」同士の配列コピーできません。C++の「memcpy」を利用した関数を「wk_util_opencvsharp」プロジェクトで作成しました。その他にもOpenCvSharpであると便利そうな関数を入れておきました。

以下に「wk_util_opencvsharp」のヘッダーファイルをあげます。（どんな関数が定義されているか分かります）

// wk_util_opencvsharp.h

#pragma once

using namespace System;
using namespace OpenCvSharp;
using namespace System::Drawing;
using namespace System::Drawing::Imaging;
using namespace System::Windows::Threading;

namespace wk_util_opencvsharp
{
	public ref class Cv2Util
	{
	public:
		static void Memcopy(IntPtr src, IntPtr dst, int num);
		static void GrayscalePalette(Bitmap^ bmp);
		static int SizeOfSbyte();
		static int SizeOfByte();
		static int SizeOfShort();
		static int SizeOfUshort();
		static int SizeOfInt();
		static int SizeOfUint();
		static int SizeOfLong();
		static int SizeOfUlong();
		static int SizeOfChar();
		static int SizeOfFloat();
		static int SizeOfDouble();
		static int SizeOfDecimal();
		static int SizeOfBool();
		static void DoEvents();
	};

	public ref class LockBitmap
	{
	private:
		System::Drawing::Bitmap^ _src;
		System::Drawing::Imaging::BitmapData^ _srcData;
		System::Drawing::Imaging::PixelFormat _pf;
		int _w;
		int _h;
		int _st;
		IntPtr _ip;

	public:
		LockBitmap(System::Drawing::Bitmap^ ini);

		void Free();

		property IntPtr Ptr
		{
			IntPtr get()
			{
				return _ip;
			}
		}
	};
}

簡単に関数やクラスを説明します。

• 「void Memcopy(IntPtr src, IntPtr dst, int num)」
  • C#の「Marshal.Copy()」は「IntPtr」同士の配列コピーできません。C++の「memcpy」を利用しました。まさにC++/CLIのマネージ拡張機能の活用です。
    
    
• 「void GrayscalePalette(Bitmap^ bmp)」
  • Bitmapクラスを「PixelFormat.Format8bppIndexed」で新規作成した時、カラーパレットはグレイスケールになっていません。
  • カラーパレットをグレイスケールにする関数です。
    
    
• 「int SizeOf***()」
  • C++の「sizeof」関数です。
    
    
• 「LockBitmapクラス」
  • Bitmapクラスから先頭ポインタを取得するためのクラスです。使い方は以下の通りです。
    

コードの詳細は「wk_util_opencvsharp.cpp」を見てください。そんなに難しいことはしていません。

実はこちらのドキュメントにあるように、「OpenCvSharp.Util::MemoryHelper」に「CopyMemory」があるのですが、なぜか「MemoryHelper」が見当たりません。。。

OpenCvSharp4.1のころのこちらの記事から大幅に変更しました。

HomeへIronPythonの記事Topへ